★高田郁著「あきない世傳 金と銀(五) 転流篇」
我ながらなんて奴だとあきれつつ、読み始めてすぐに、「ああこれは2つの不幸が起きるなあ。」と思ってしまいました。
そしてそれが当っても嬉しくもなんともなく。
幸も苦しんでいるはずなのに、淡々と乗り越えているようにしか思えず、奇しくも物語の中で「(幸は)心がない」とまで言われています。
つまり高田さんがわかって書いているのです。
あえて共感を持たれ、心を寄せられるヒロインではなく、読者の同情すら拒絶する鋼鉄のヒロイン。
そんな女性を描く意味は?
最後の最後、読者も幸も共に大泣きするような感動的な結末を望むのは無理なのでしょうか・・・。
置いてけぼりくらったようでちょっと寂しい読後感でした。